紀州材の特性2

木は、湿気が多いと水蒸気を吸い込み、少ないと水蒸気を放出します

免震・耐震・制震技術

木の主成分であるセルロースやヘミセルロースの中には、水分子を引き寄せる部分があります。この器官は、まわりの湿度が高い時は空気とともに水分を吸い込み、乾燥している時は水分を空気とともに放出する働きを担っています。

このように、木材の周囲の湿度は常に一定に調整されます。夏は湿度が高く、冬は乾燥する日本では、住宅用材には木が適していると考えられます。

木は熱伝導率が低く、その効果は断熱材並みです

耐震補強技術

木材の熱伝導率は鉄の約500分の1と非常に低く、木材は断熱性に優れています。
この理由は、木材は細胞の集合体であり、この細胞の中には熱を伝えにくい空気が含まれているからです。例えば、スギの断面1立方センチメートルあたりには、4万から30万個もの細胞が詰まっており、その断熱効果は住宅の断熱材に匹敵するほどといわれています。

木は時間が経つと乾燥し強度が増します

鉄やコンクリートなどの建材は、新しい時が最も強く、古くなるにつれて強度が低下していきます。しかし、生物資源である木材は、時間が経つと乾燥の度合いが高まり、強度が増すという性質があります。

例えば、ヒノキでは伐採されてから100年から200年もの間、圧縮や引っ張り、曲げに対する強度が高くなり続けます。その後強度は低下しますが、1000年後にようやく伐採された時の状態に戻るというような緩やかなペースです。

木は着火しても表面が炭化して燃え尽きるのを防ぎます

○○○技術

木は燃えるというイメージがありますが、木造住宅は他の材質の家に比べ決して火事に弱いわけではありません。

例えば、鉄やアルミニウムは500~800度になると急速に強度が低下し、曲がってしまいます。しかし、木材が燃えるスピードは1分間に約0.6ミリメートルと非常にゆっくりしたものです。また、木材はある程度の厚みがあれば、中心部まで燃え尽きるのに時間がかかるため、建物の倒壊を防ぐことができます。

木は消臭・殺菌効果のある成分を放出し空気を浄化します

森林には、様々な生物の腐敗物が堆積しているにもかかわらず、清涼な空気で満ちています。

これは、樹木が微生物や虫などから身を守るために消臭・殺菌効果のある香りのよい成分「フィトンチッド」を放散しているからです。木が伐採されて木材になったあとも、この「フィトンチッド」による効果が長期間継続します。

木は表面の凹凸で反射光を目に優しく調節します

木の空間が心地よく感じられる理由の一つとして、木材が反射光をコントロールし、やわらかな明るさを作り出すことが挙げられます。

木材の表面にはミクロ単位の細かな凹凸があり、これが光を散乱させて弱めるため、人の目には優しい光となります。

また、木材の表面では有害な紫外線などが吸収される一方で、赤外線などは反射率が高くなるため、内装に木材を用いると暖かみが増す空間となります。

木は不快音を吸収し、音をまろやかにします

劇場やコンサートホールなど、木材が使われた空間で音がまろやかに感じられるのは、人が不快に感じる高音域や低音域を木材が吸収するからです。

木材の内装を施した空間では、ほどよい吸音効果が得られ、屋外の不快な騒音も遮られます。